"仮面ライダークウガ"とは、刑事ドラマであり、人間ドラマであり、特撮である

 

 

急遽CSMアークル発売にかこつけて、未視聴の方向けにダイレクトマーケティングしたい所存で書く。

昔の僕はそうしたかったみたいですが、

現在「仮面ライダークウガ」がYoutubeで無料視聴可能ということで、そっち向けで書きます。

 

www.youtube.com

 

もう「まーた仮面ライダーの話題かよ」ってなる人にはおすすめできないんで、

帰っていただいて大丈夫です。

「特撮」であることを理由に視聴しない方々は先入観で損をしていると思う。

 

 

 

 初めに

 

まず初めにだが、平成第一作とは関係なしに、仮面ライダー史の中でも

クウガを特別視する声は多い。事実自分もそうだ。

もちろん、脈々と受け継がれてきた正義の系譜に変化をもたらした作品、

であることは間違いないのだが、とにかく昨今の平成ライダーと比べても異質である。

それらを列挙することで、本作品の魅力を開設できるのではないかと思う。

また、本来であればSSや映像を交えながら紹介したいのだが、

聡明な諸兄には周知の事実であると思われる著作権等々の問題もあるので、

文章での紹介になることを容赦願いたい。

(後ほど紹介するが、興味を持たれた方はTTFCへの入会が一番手っ取り早い。)

 

 

 

 

 

1.特撮らしさのない構成

表題でも述べた通りであるが、本作を特撮として捉えるよりは、

刑事ドラマの方がしっくりくると思われる。

とりわけ特撮にはロケ地の関係、戦闘シーンの撮影上、不可思議な場面転換が

ありがちだが、(俗に言う謎ワープ)今作にはそれがほとんどない。

場面転換には不快にならない程度に現在の時刻、場所の表示が行われ、

移動の際にはバイクを使用する。

 

ライダーである以上バイクの使用は至極当然という諸兄もいるだろうが、

昨今、とりわけ平成2期で移動をバイクで行うライダーの方が少ないのは事実であるし、

出現範囲も規模も考慮されず、戦闘シーンに重きが置かれている平成2期と違い、

関東付近にて出現、主人公五代雄介はバイクで急行するという図式が確率している。

 

 

重大な点として、警察が有能であることも挙げられるだろう。

怪人に対して異能の力を振るって悪を根絶するのがライダーということであれば、

警察は分析と科学によって立ち向かうという構図が成り立ちやすく、

昨今はそういった立ち位置が最も無難であるが、良い意味で警察組織が機能している。

主人公が異形の姿へ変身し、怪人と戦闘を行うが、物語序盤までは

ライダー側は怪人側の1人として認識されており、明確に敵視されている。

後に人間を守る側としての功績と、正体を知る警察関係者から

味方と位置づけられるようになるのだが、安易に敵味方を区別しない他、

終盤以降は戦力としての活躍、そして警察装備だけで最も重要な怪人の殺害に成功

するなど、以降の作品では見られなくなった人類の抵抗を見ることができる。

尚、クウガが人間側であることは伏せられているため、一部身内と関係者以外には

敵側怪人の一人として認識されている。

その他にも考古学者、医療関係者等の尽力、協力もあって巨悪に立ち向かうのだが、

単体戦力で戦闘しながらも、周囲との連携によって怪人を追い詰める描写は多く、

良い意味で、特撮じみていないと言って差し支えないだろう。

 

また、他作品にない描写としては、明確に人間が死ぬ。

死んだ後の遺族の感情や、報道、それに次ぐ主人公の激昂など、

様々な要因で殺害された人間をなあなあにすることはなく、死を畏怖すべきものとして

向き合うとともに、人を殺させないために戦うという理由づけにも成功している。

 

登場人物の感情にクローズアップする回も多く、喜び、悲しみ、怒りだけでなく、

嫉妬、後悔、失望、哀しみにも触れる。その他にも良い意味で特撮らしさはないが、

残りは自分で見てくれ。マジで。

 

 

 

2.ベルト音声等の不必要な音声、設定のオミット

 

現行のライダーといえば、そのベルト変身音声が嫌でも耳につく。

正直なところディケイド以降から始まった奇怪な風習には辟易しているのだが、

当然、本作にはそれがない。変身ポーズ+「変身!」の掛け声のみであるし、

フォームチェンジの際も「超変身!」としか発言しない。

 

ドッキーン!パッカーン! ムーテーキー!

カガヤケーリュウセイノゴートークーオウゴンノサイキョウゲーマー ハイパームテキーエグゼーイド!

うるさいんじゃたわけ。

 

設定に関しても、新要素の追加は物語の進捗につれて避けられないものではあるが、

現行シリーズと違い、主人公五代も最初に得た力の使い道がわからないため、

視聴者も主人公も理解する説明のプロセスがある。

解釈によって割れる設定面はあるが、理不尽な知識は要求されることもないので、

とても見やすく作られているといえる。

 

何より戦闘シーンが見どころとはいい難いため、そのあたりも視聴ハードルは下がる

と思われるが、これはこれで本来のターゲット層である子供は見づらい作品であった

ことには間違いないと思われる。

 

 

 3.視聴者の感情にダイレクトに訴えかけてくる

 

 冒頭でも書いた通り、仮面ライダー、特撮ファンの中でも「クウガ」を特別視する声は多い。

実際、主演のオダギリジョー氏が「演じたクウガを好きか嫌いか」といった論争は

昨今まで決着がつかなかった(本人の口より数十年ぶりに語られた)し、

前述したCSMアークル(簡単に言うと大人のための返信玩具)シリーズが発売されるまで、

当時の変身ベルト(子供用)はプレミア価格5万円を優に超えていたほどである。

 

これほどまでに人を惹きつける作風には、並々ならぬ作品へのこだわりがあるからだ。

 

一部ネタバレになってしまうが、当作品においての怪人のルールとして

「人間には不可能な方法で殺人を行う」ことがある。

これは作品をまねて殺人を犯す犯罪者への懸念と、

怪人への畏怖を同時に成立させており、視聴者の没入感を底上げしている。

 

また、是非読者諸兄には自分で視聴して頂きたいので内容は伏せたいが、

仮面ライダーが仮面をつけて戦う理由」まで詳細に語られていると言えるエピソードもある。

EPISODE:41『抑制』にて語られるエピソードだが、少しネタバレを挟んで話そうと思う。

 

該当エピソードでは「未確認生命体(クウガ世界における怪人)」に

両親を殺された少女が演技のオーディションを受けるところから始まる。

オーディションの課題は「好きな人を目の前で未確認生命体に殺されたときの芝居」だったのだが、

さらに少女は「実際に両親が殺された経験が役に立ちそうでよかったね」との発言を受け激怒する。

 

相談を受けた主人公、五代は「暴力では悲しみは解決せず、さらに憎しみの連鎖が続く」ことを諭そうとするが、

少女は「さっきから五代さんの言うてること、綺麗ごとやないですか!」と絶叫する。

 

これに五代は回答しながら、自身は怪人との戦いに赴くのだが、

回答が気になる諸兄は、繰り返すが自身で視聴してほしい。

僕自身はこの回答、とても好きです。

 

上述のように、明らかに子供層、とりわけ実際の当時の特撮視聴者層に対しては

「必要のない描写(玩具、視聴率等のことを考えるのであれば)」も非常に詳細に描いている他、

今でこそターゲット層になりがちな所謂「大きなお友達」からも

評価を得られる作品になっているが、当時の判断としては英断であったという他ない。

 

A New Hero. A New Legend. の看板に偽り無しと言えよう。

 

 

 

最後に

僕自身がこの作品について語りたいことはまだ山ほどあるのだが、

具体的なエピソードやネタバレを含まずに語ると、このあたりが落としどころであるように思う。

 

この記事が公開される2020年11月30日現在では20話前後が配信中の予定なので、

兎にも角にも見てほしい気持ちでいっぱいだ。 

最後になるが、「平成ジェネレーションズFOREVER」の最後のキックの演出は、

CGの賛否はあるもののクウガを非常にリスペクトしてくれていて、

僕は映画館で実際泣きました。

 

この作品を好きでいてくれたファンへのプレゼント と言っても過言ではないでしょう。

 

これからも仮面ライダーを好きでいたいと思います。